武力紛争は、あらゆる人権に重大な影響を与える事態である。2023年10月7日のハマスの武装攻撃、そして、イスラエルのガザ侵攻は、大量の死傷者を筆頭に大規模かつ過酷な人権侵害状況を創出している。なかでも、イスラエルによる空爆・地上作戦に加え、10月7日以前から続いていた封鎖や集団的懲罰と相まって、身体的破壊をもたらす生活状況を故意に課すことはジェノサイドではないかという指摘が国連人権理事会の特別手続任務保持者をはじめ、研究者・実務家から行われてきた。
今年1月には、国際司法裁判所によって、南アフリカの提訴を受け、イスラエルのジェノサイド条約上の義務遵守を強調する仮保全措置命令が指示されている。これらガザの状況が喫緊の課題であることに加え、ロシア・ウクライナ間の国際武力紛争、シリア・イエメン・スーダンでの非国際武力紛争など、世界各地で110以上の武力紛争が存在するという調査もある(Geneve Academy: Today’s Armed Conflicts)。
国際人権法学会でも、事態の重大性と緊急性から、昨年11月の研究大会の際に緊急ラウンドテーブル開催が呼びかけられ、国際人権法学研究者・実務家としてどのように取り組むか様々な方策が議論された。そのうえで、これらの問題について率直に議論しうる場を設け、複雑な問題について専門的知見を総動員して検討すると同時に、その成果を社会へ提供することの重要性も共有された。
そこで、現代型紛争を人権の観点から議論し、その知見を社会に発信する場として、国際人権法学会においてフォーラムを開催すること(通称:MARCH (Modern Armed Conflicts and Human Rights ) プロジェクト)を提案する。
根岸陽太(西南学院大学)
伊藤和子(ミモザの森法律事務所/ヒューマンライツ・ナウ)
小坂田裕子(中央大学)
島本奈央(大阪大学大学院)
建石真公子(法政大学)
近江美保(神奈川大学)
吉田暁永(早稲田大学)
江島晶子(明治大学)
須網隆夫 (早稲田大学)
根岸陽太(西南学院大学)
佐々木亮(聖心女子大学)
根岸陽太(西南学院大学)
国際人権法学会「武力紛争下の人権」フォーラム事務局 [email protected]
★公式Twitterによる一般向けの情報発信を行っています。★
ガザ危機を取り上げ、武力紛争の背後にある人種差別体制(レイシズム・アパルトヘイト)や入植者植民地主義(セトラーコロニアリズム)などの構造的な問題が、人権にどのように影響を与えるかを検証する。
総合司会:小坂田裕子(中央大学)
コメンテーター:島本奈央(大阪大学大学院)
企画趣旨説明(須網隆夫・根岸陽太)
高橋宗瑠(大阪女学院大学)
早尾貴紀(東京経済大学)
広報チラシ・ニューズレター
国際法上の「平和への権利」と憲法上の「平和的生存権」の理論的基盤を再検討し、それらの権利が自衛隊の活動や国際的な人権侵害への対応においてどのように保障・拡張されるべきかを議論する。
日程:7月8日(月)19:10〜21:10
形式:オンライン開催
プログラム・登壇者
山元一(慶應義塾大学)
根岸陽太(西南学院大学)
建石真公子(法政大学)
植松健一(立命館大学)
望月康恵(関西学院大学)
青井未帆(学習院大学)
広報チラシ・ニューズレター
共催:課題番号23K22054 2024年度 基盤研究(B) 「グローバル化による憲法秩序の規律空間の変容とその課題 」(山元一代表)
武力紛争における人権や、人権法と人道法の関係は学問的に議論されてきたものの、武力紛 争において最も脆弱な立場に置かれる女性、子ども、高齢者といった人々の視点を欠いてきた。 本ユニットでは、武力紛争の現場を知る方々からの声を聞き、犠牲者の視点から、武力紛争に おける人権を問い直す。
日程:8月7日(水)18:00~20:00
形式:Zoom Webinarと対面開催のハイブリッド
会場:早稲田大学早稲田キャンパス3号館305教室
登壇者
司会:吉田曉永(早稲田大学法学学術院・講師)
大谷美紀子(子どもの権利委員会)「武力紛争下における子どもの保護と人権」
榛澤祥子(ICRC駐日事務所代表)「紛争時の文民保護にかかるICRCの役割」
堀越芳乃(MSF日本事務所)「紛争下での国境なき医師団による医療・人道援助活動について」
島本奈央(大阪大学大学院、コメンテーター)
広報チラシ・ニューズレター
国際人権法学会+Newsletter(フォーラム開催特別号No.3).pdf