2002年:チャベス大統領に対するクーデター未遂
- 米国が「民主主義の回復」という名目で、選挙で選ばれた大統領を武力で排除した勢力を即座に承認した事例
- 2002年4月11日、軍の一部と財界指導者がチャベス大統領を一時的に拘束。経団連会長であったペドロ・カルモナが暫定大統領に就任したが、民衆と軍主流派の反撃によりわずか48時間で崩壊した。
- ブッシュ政権は、中南米諸国がクーデターを非難する中、即座にカルモナ政権を事実上承認する姿勢を見せた。
カルモナ布告(The Carmona Decree)
民主的移行と国民統合のための政府樹立決定書(Acta de Constitución del Gobierno de Transición Democrática y Unidad Nacional):クーデター勢力が「憲法秩序」を無視し、独裁権力をカルモナに集中させるために三権分立を完全に破壊させる内容。
- 1条: 大統領の解任
- 3条: 国会(国民議会)の解散
- 7条: 最高裁判所長官および判事の解任
- 8条: 検事総長・会計検査院長等の解任
米国務省監察総監室(OIG)報告書
関連人権判例:アラン・ブリュワー=カリアス(Brewer Carías)事件
- 2002年クーデター: 4月12日、チャベス大統領(当時)の一時的失脚に伴い、カルモナ暫定政権が樹立され、国会や最高裁を解散する「カルモナ布告」が出された。
- 申立人の関与: 申立人は軍事施設に呼ばれ法的助言を求められたが、布告の内容(民主的制度の解体)には反対したと主張。しかし、後に「布告の起草者・首謀者」としてメディアや政府高官から名指しされた。
- 訴追: 2005年、検察(暫定検察官)は「暴力による憲法変更の共謀」容疑で申立人を訴追。
- 亡命: 公正な裁判が期待できないとして、申立人は2005年に米国へ出国(コロンビア大学教授に就任)。現在も亡命中。
- 国内手続: ベネズエラ当局は「被告人が不在(欠席)」であることを理由に手続きを停止(suspension)。申立人の弁護団による無効申し立て等は放置された。
米州人権裁判所:先決的抗弁判決(2014年)
⚖️ IACtHR, Allan Randolph Brewer Carías v. the Bolivarian Republic of Venezuela, Series C No. 278, Judgment of Preliminary Objections of 26 May 2014
- ブリュワー氏は「帰国すれば逮捕され、公正な裁判は受けられない(だから国内手続きは無意味)」と主張した。
- 裁判所は、ベネズエラ政府の「国内での刑事手続きがまだ終わっていない(予審段階である)」として、国内救済完了原則の形式的要件を厳格に適用し、先決的抗弁を認める。
自由権規約委員会見解(2021年)