謎の独立国家ソマリランド そして海賊国家プントランドと戦国南部ソマリア/高野 秀行
https://www.youtube.com/watch?v=XUwFlg8GUTQ
国際社会の反応
🇺🇳 国連
安保理
**第10084会期(2025年12月29日)**SC/16270
🗞️ Israel’s Recognition of Somaliland Triggers Sharp Divides, as Security Council Speakers Warn Move Threatens Stability in Horn of Africa
1. 事案の核心:国家承認と領土保全の衝突
- 本件は、2025年12月26日にイスラエル(ネタニヤフ首相)が「ソマリランド」を独立主権国家として公式承認したことに端を発する。
- これに対し、ソマリア連邦政府および多数の安保理理事国・地域機構が、国連憲章およびアフリカ連合(AU)構成法が定める「領域保全(territorial integrity)」と「国家主権(sovereignty)」の侵害であるとして強く反発している。
2. 法的対立軸の整理
- A. イスラエルの主張:モンテビデオ条約に基づく「宣言的効果説」的アプローチ
- イスラエル代表は、ソマリランドの承認を「挑発」ではなく「現実の法的確認」であると主張した。
- 国家の要件: ソマリランドは1991年以来、慣習国際法(モンテビデオ条約)が定める国家の客観的要件(永続的住民、明確な領域、政府、他国との外交能力)を満たしているとの立場をとる。
- 法的性質: 承認は新たな権利を創設するものではなく、既存の事実を確認するものである(承認の宣言的効果説)とし、自国の行為を正当化した。
- B. ソマリアおよび国際社会の反論:「尚早な承認」と不干渉原則違反
- ソマリア、アフリカ・アラブ諸国、中国、ロシア、EU等は、この承認を国際法違反として断固拒否している。
- 無効宣言: ソマリアは、ソマリランドには国家としての条約締結能力がなく、いかなる合意も「無効(null and void)」であると宣言した。
- 不干渉原則と領域保全: 一方的な承認は、ソマリアの国内管轄事項への介入であり、国連憲章2条4項(武力不行使・領域保全)およびAUの原則(植民地独立時の国境維持=uti possidetis juris)に違反する「分断工作」であると批判されている。
- 尚早な承認(Premature Recognition): 本国の同意なき分離独立派の承認は、国際法上、不法な干渉行為とみなされる懸念が示された。
3. 国際人権法・人道法上の懸念事項
- パレスチナ人の強制移住疑惑: ソマリア代表およびアラブ連盟は、承認の背後に「ガザ地区からのパレスチナ人の強制移住(forced relocation)」や「ソマリランド北西部への移送」の意図があるのではないかという重大な懸念を表明した。これは国際人道法(占領地住民の強制移送の禁止)に関わる重大な告発である。
- 地域の不安定化: 分離独立の助長が、アル・シャバーブ等のテロ組織に対抗するソマリアの治安維持能力を損なうとして、人間の安全保障上の脅威が指摘されている。
4. ダブルスタンダード論と国家実行
- 米国はイスラエルの「外交関係を結ぶ権利」を擁護しつつ、自国の政策に変更はないと述べた。特筆すべきは、米国が本件に関連して「パレスチナ国家承認」を巡るダブルスタンダードを指摘した点である。
- 米国は、パレスチナを一方的に承認した諸国に対して安保理が緊急会合を開かなかったことを挙げ、イスラエルのソマリランド承認のみを問題視する姿勢を批判した。これは、国家承認という行為が法的な要件充足の確認であると同時に、高度に政治的な裁量行為(構成的効果説的側面)であることを示唆している。